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692 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/03/10(土) 23 27 51.57 ID ZUE4s1y3 Be 『世にも不幸な女の話』 中国の都が洛陽というところにあり、権威は失せていたものの皇帝が健在だったそんな時代のこと。 都の街を取り締まる警察の長官にあたる職に就いていたオウインという男の私邸に盗賊団が押し入 り、撃退されて、その首領の女が捕縛された。 女の名はキョウコといい、凶女の二つ名で悪名を知られる四十半ばの大背肥満だった。赤黒く日焼 けした顔の至る所には新旧とりまぜて無数の刀傷がはしっており、その形相をさらに恐ろしいものに 演出していた。 縄を打たれてオウインの前に連れ出されても、キョウコはまるで恐れた様子も見せずに、平然と鼻 歌を楽しむ始末だった。 「おい、お前さんはこれから棒で叩かれて、それから全身に墨を入れられてしまうというのに、なん でそんなに平気な様子なのだ?」 不思議に思うオウインは、片手に髭をもてあそびながら興味深げにゴザの上に胡坐するキョウコに 問いかけていた。 「いやさ、おっさんよう。あたしもこれまで数えきれねえほどいろんな奴らからぶっ叩かれてここま で来たもんだからよう、そんなくらいじゃまるで堪えねえって、そういうことなのさ」 キョウコはにいっ、と反っ歯を見せて笑っていた。 「それに、この赤黒い肌と来た日にゃあ、かえって入れ墨のほうが気の毒なぐれえだぜよ」 その言葉を裏付けるように、彼女の太い二の腕には、無数の入墨の輪の跡が付いているのだが、な るほど、まるで目立った様子をみせないのである。せいぜいが薄い縞模様に見えるくらいだった。 ほう、とオウインは感心してさらにキョウコへと言葉を投げかけていた。 「聞けばお前さんたちは、奪った金品や穀物を貧しい者たちに分け与えるようなことをしているそう だが、それではお前さんたちは義賊ということなのかね?」 丸い目でのぞきこむオウインの質問がおかしかったのか、それとも真面目な顔がおかしかったのか、 キョウコはぶはっ、と吹き出すように笑って答えていた。 「いやいやいや、笑ってすまねえな、おっさんよ。あたしたちは白浪(当時はやっていた黄巾族とい う盗賊のこと)みてえに高尚なお題目で働いてるわけじゃねえさ。ただ、うちの下っ端の奴らはいつ でも食うに困ってるものだから、結果としてそんなふうに見えちまうだけなのさ」 しかし、そのキョウコの言葉にオウインはますます興味を深めた様子であった。 「なるほどなあ、それでそんな噂になっているということなのか、いや勉強になった」 「いや、さ。遠慮なしついでに言っちまうとだけどさ、あんたがたにもっと取り締まってもらいたい ような腹黒い奴らはもっと他にいるみたいなんだけどねえ」 キョウコは太い眉をしかめて嫌味を言った。 693 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/03/10(土) 23 28 45.24 ID ZUE4s1y3 Be 「ロクに働きもしないくせにさ、やたらと立派なお屋敷に住んで、きれいな服を着て旨いものを食べ る奴らさ。生まれついての高貴なお方がたは、どんなにあたしらが腹を空かせていてもおかまいなし に贅沢を重ねているじゃありませんかね」 言葉はなおも続く。 「同じ貧しい女でも器量のいいのは可愛がられていい思いができるさ、でもあたしみたいにびっくり なご面相じゃ男に甘えることもできやしない。せいぜい、ゆすりかかっぱらいなんかで生計を立てて いくのが関の山。どうだい、あたしがいい例じゃないか」 言葉は流暢に紡がれるようでも、口調には熱がこもっていた。 「誰もが心安く生きられる世の中を、作ることができるのに、それをしようとしない、むしろさせな いなんて、そんな不届きな奴らこそ、あんたがぶっ叩かなけりゃならない相手じゃねえのかい?」 ふざけたような口振り素振りでも、言っている言葉は真実であった。 「まあ……そうだな。まったくもってお前さんの言う通りだ」 オウインは面目ないとばかりに頭をぽりぽりと掻いていた。 「だがさ、わかっておくれよキョウコさんよ。私ていどの力では取り締まれないような怖い奴らがこ の都にはごろごろ巣食っているんだよ。そいつらをやっつけようとするのには、もっともっと大きな 力がほしくなってくるんだよ」 しかし、キョウコの返答もすげない。 「だからって、おっかない兵隊を増やせば増やすほど街は息苦しくなってくるし、それに畑を打った り狩りも釣魚さえもしないような奴らを養うために、もっともっと貧乏な奴らは苦しくなってくるん だよ。そりゃ、どういうことだい?」 これには、オウインには返す言葉もない。 「力でどうこうしようなんて考えじゃなくて、知恵でやり返すのさ。弱い奴らはみんな工夫して生き てるんだ。弱いからこそどうにかしようって気持ちが湧いてくるんだよ」 縄に縛られても自分の考えをずけずけと言うキョウコの大した肝の太さに触れて、オウインの中に は彼女に対する不思議な同調が生まれていた。 この女は、自分が助かりたいからと縦横の能弁を講じているのではない。もっと、純粋に自分に対 して社会への強い憤りをぶつけているのだ、と。 「……わかった。わかったよ、キョウコさん。あんたの言いたいことは私に通ったよ」 オウインはゆっくりとキョウコに近づいていき、手ずから縄を解いてやった。 「私は、これからこの乱れた世の中の歪みをなんとかしていこうと思うんだ。それこそ骨組みから、 替えていくような、ね、だが、それには強い協力者が必要なんだよ」 「ぶはっ、こんな、あたしみたいな凶女をかい?」 目を丸くしてオウインに見入るキョウコ。 「もちろん、そのままではいけないね。あんたは顔が売れすぎているし、なにより見た目でしか人を 判断できないような呆け者たちに取り入るのには、失礼だがそのナリでは無理だろう?」 ぶすっと口をへの字に曲げながらも、オウインの言葉には頷くしかないキョウコだった。 694 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/03/10(土) 23 29 42.74 ID ZUE4s1y3 Be ついておいで、と中庭から長い渡り廊下を抜けて、オウインの簡素な私室へとキョウコは連れられ ていった。 オウインは、部屋の隅に調度として飾ってあった小ぶりな壺をどけると、その下の空洞に隠してあ った小さな箱を取り出していた。 「ああ、とうとうこいつを使うときが来たんだなあ」 小さな感慨をこめて箱の鍵をがちりと開けるオウイン。そして、その中に並んでいたものをキョウ コに向けて指し示していた」 「こいつは……ヒスイか何かかい?」 五つ並んだ小さなそろばん玉のような白い塊を、キョウコはしげしげと見ていた。 「いいや、こいつは骨さ。それも人間のね」 わざと何事もない様子で言うオウイン。 「へえ、そうかい、そういやそんな色だねえ」 怯えた様子など微塵もみせないキョウコは、さすがに胆が据わっていた。その様子に満足してオウ インは説明を続けていた。 「うん、こいつはね、女の骨を磨いたものなんだ。それも当代古代に名高い五人の才媛や美姫のね」 白い骨の粒の表面には、小さく幾何学的な文様が篆刻されている。 「へえ、それでそれで」 「これを飲み下せばたちどころにその女たちの魂がその女に宿って、どんな醜貌も絶世の美女へと早 変わりってなもんなんだよ」 オウインはその骨粒の一つをつまみ出して、キョウコの手のひらに乗せてやった。 「まずは、一つめさ。皇帝のお気に入りだった芸妓のうちでも際立っていた娘のだよ」 「わかった、さっそくやってみるかい」 キョウコは、それを躊躇なくガリっと咀嚼して、胃の腑へと収めてしまっていた。 変化は、なかなか現れなかった。 「……おかしいなあ、効き目がないはずはないんだがね」 オウインが不服そうな顔をする。 「あははは、何だよ気を持たせやがって、まがい物をつかまされたんじゃないかよ」 にやにやとしていたキョウコの顔がびくん、と引き攣った。 「うひゃ、ひゃ、なんだ、これは」 突然キョウコの肌の上に浮き出してきたほくろのようなものは、あっという間に面積を押し広げて 顔と言わず体と言わず、彼女のその全体を黒いかさぶたのようなもので覆ってしまっていた。 「うげっ、ぺっ、ぺっ。なんだよこりゃあ、バカにしてるぅ」 びり、びり、とかさぶたを剥ぎ取るキョウコだったが、別に痛みは感じられなかった。 「……ほう、つまりはこういうことだったか」 感心して声を出すオウイン。 キョウコは下穿きまでも脱ぎ去って全身に生じたかさぶたを除去していた。隣に人がいようとも、 まるで羞恥もない。あられもないどっしりとした大柄の裸身をさらしていた。 「はあ、なんだよこりゃあ」 かさぶたの下から現れたのは、シミや皺、もちろん刀傷などまるでない絹布のように白く輝く若い 肌だった。 「その子は色の白くて綺麗な肌で評判だったからね、その魂が作用すればこうなるというわけだ」 姿見の金属鏡を持ち出して、オウインはキョウコにその姿を見せてやっていた。しかし、キョウコ はそれにも浮かない顔で、 「なんだよ、美人になれるってならまだしも、ただ色が白くなったってだけじゃあ猪豚が白豚になっ ただけじゃないか。生っ白くなっちまって、かえって箔が無くなったようなもんだ」 鏡を覗き込んで、不平を口にしていた。 695 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/03/10(土) 23 30 36.51 ID ZUE4s1y3 Be 「いやいや、それでも一度に変身するよりは面白いじゃないか、それ次をいってごらんよ」 オウインが二つめの粒を投げつけると、それをキョウコはぱくりと口で受け止める。 「まあ、それもそうなんだがねえ……」 もがもがと複雑な表情でキョウコはそれを飲み下していた。 次なる変化は、わりと早く現れていた。 「……あ、ああっ、らっ、ららっ?」 「ほう、次のはたしか、楽人のうちの一人で美声の持ち主だった娘じゃな」 うんうん、と一人頷くオウインだった。 「……ううん、こんな声なんてどうだっていいんだからさぁ、もうちょっと大事な部分をどうにかし てくれないかしらぁ」 玉を転がす透き通った少女の声で、熊のような大女は甘えた口ぶりをみせていた。 「うん、悪くないよ。なかなかに可憐じゃないか……ぷふっ」 思わず吹き出してしまうオウインを責めることはできないほどのアンバランスさであった。 「いやぁん、もう、バカにしてぇ……」 口調がまるで変わってしまうのだ。よほど意識して発声しなければこんな話し方になってしまう。 「ま、ま、謝るから気を取り直しておくれよ。そして、私の考えが正しければ、お前さんにはもう、 歌舞や音曲に関する達者の技能が備わっているはずだからね、それもゆくゆく役に立ってくれるだろ うよ」 少しだけ拗ねた様子をみせていたキョウコだったが、それでも気を取り直して、 「じゃあ、次のを頂戴。もっとそう、ぱっ、と美人になれるのとか、この固肥りの体をすっきりとさ せてくれるのとか、私、そういうのがいいわ」 「物事には万事、順序があるさ。それを弁えずに急流に逆らうからこそ、人は溺れる憂き目に遭う。 少しずつ変わっていくからこそ心を保っていることができるのだよ。わかるね?」 オウインは三つめを差し出しながらも、はやるキョウコに釘を刺していた。 キョウコにも、オウインの言葉の意味は伝わっていた。なにしろ、これはただの変身薬ではなく、 魂の塊なのだ。うかつに服用していけば、自らの自我を乗っ取られてしまう。そうなったら美人どこ ろの騒ぎではない。心を低く鎮めつつ、三つめの粒を静かに服用していた。 次なる変化は頭部に現れた。 「いやっ、何よぉ、これぇ!」 するする、と抜け落ちる髪は床に散らばり、あっと言う間もなくキョウコは完全な禿頭になってし まっていた。ぺたぺたと手の触れるところは全てつるつるになっていた。 「ああ、大丈夫だよ。これは医師どのの若死にされた奥方のものだ。だとすれば、すぐに、ほら」 みるみるうちに、新しい黒髪が生え伸びていく。腰まで届くような艶やかな髪は、癖もなく揃って 広がり、青い輝きを周囲に放っていた。そのこぼれ落ちる様は、まさに流水のごとし、だった。 「いいわ、ね。これは。私はいつもぼっさぼさの赤毛を気にしていたんですもの」 キョウコは気に入った様子で髪に手櫛を梳く。 そして、彼女は知覚した。彼女の中に医師の妻としての知識や技術、そして感情までもが流入して きていくことを。 696 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/03/10(土) 23 33 48.97 ID ZUE4s1y3 Be 「どうだね、少し休みをとってから続きにしようか?」 額に脂汗を浮かべるキョウコにオウインは声を掛ける。 「ううん、大丈夫。なんとなく、変化の癖っていうのか、なにかが掴めてきた気がするから」 五つの骨粒は、単なる変身薬などではなく、女たちの執念の塊だった。この世の最期に強い無念を 残した女たちの死に様が、そこに凝縮しているのであった。 オウインが差し出した四つ目の骨粒は他のものと比べると、やや黄ばんでいて年月を経た様子を示 相するものであった。 それを口にして噛み下したキョウコの全身に激痛が奔る。 「ふ……ぐわっ!」 かがめた背中に瘤のように盛り上がった筋肉が密度を高めていく。猪のようだった手や足はしなや かさを増していき、腰は柳のように細められ、胸は形よく隆起し、尻は若々しい丸みを帯びていく。 「かつて、楚の将軍に寵姫がいたのだが、これはその女の骨だよ」 将軍とともに非業の死を遂げたその女は、後に草花の名となって知られるほどの美姫だったという。 みるみるうちに熊のようだった体格の女は牝鹿のように軽やかな乙女へと姿を転じていた。 「あ、ははぁ、すごいすごい、すごいよぉ」 帯の身ごろを半分ほどに締め直し、ぶかぶかになった衣服を整えて身体を軽く揺すると、ふわりと 花のような立ち姿である。あくまでも顔を隠せば、という限定ではあったが。 「しかし、なんだね。お前さんのせっかくの鍛錬された膂力を失わせることは惜しいことではあるが なぁ」 すると、にやり、と笑ったキョウコは右手をすっと差し出して、オウインに握手を求める格好をと った。 何事か、と同じく右手を差し出したオウインの手を掴むと、そのままに力み寸毫発することなく、 「そうれっ、と」 そのままオウインの身体を片手で持ち上げてしまっていた。それほどに巨漢ではなくとも、成人男 性の身体を片手の力のみでやすやすと持ち上げたのである。 「わわっ、おろしてくれよ」 慌てたオウインに、にやり、と黄色い歯を剥きだして凶悪な笑みを漏らすキョウコ。 「力は無くしちゃいないの。ただ、その上に新しい姿が重ねられただけ」 謎掛けるように呟き、とん、とオウインを床に下ろしながら、キョウコは最後の骨粒を要求した。 「さあ、それじゃあ最後のひとつ……頂戴」 697 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/03/10(土) 23 34 45.98 ID ZUE4s1y3 Be ふう、と息を整えたオウインが最後の骨粒を手にした時、その表情に複雑なものが瞬間奔ったこと を、キョウコは視認して、あえてそれを黙っていた。 「ああ、それじゃあこいつが最後の一つだよ、さあ……いってみようか」 うっすらと桜色がかったその骨粒を染めていたのは、おそらくは染みついた血の赤だった。 かりっ、と音を立ててキョウコはそれを咀嚼する。 うっ、と口元を覆うキョウコの口からばらばらと黄色い歯が抜け落ちた。 「うくぐっ、くっ」 苦痛に押さえていた顔をようやく上げたキョウコの顔は、もはやそこにはなかった。 代替として生え揃う白玉のように整った歯。そしてごつごつとしていた輪郭は、小さくうりざねの 形に整い、あぐらをかいていた鼻が形よく隆起して、口元が涼しく引き締まり、笹の葉のように青々 しい眉が一条整った下には、長く濡れた睫毛の奥で、青く輝く瞳の色が冴えていた。 鏡に向かって微笑めば四季の花が恥じらい、哀愁に表情を曇らせれば、そこには深い湖のほとりを 覗くような神秘的な憂いが形作られていた。 「これが……私なんだぁ」 男の庇護欲をかき立てる甘やかな口調も、ここに至ってようやく真価を発揮していた。 オウインは、キョウコの作り変えられた顔をしばし放心の態で眺めていたが、 「ああ、この娘はね、皇帝の後宮に入れられるのを嫌って、逃げ出そうとして、そしてついには処刑 された、そう……かわいそうな子なんだ」 すると、キョウコはそのオウインの言葉を受けて、 「……ええ、そしてあなたがこの世で唯一愛した女性なんでしょう」 口調、というよりも声までもまるで別人に変えて、一言を発していた。 石のように表情を凍りつかせるオウイン。 「ねえ、あなた……どうしてあのとき、私のことを連れて逃げてくださらなかったの?」 責めるような口調で、キョウコに宿った女は声を発していた。 顔を蒼白にして、額に汗を玉のように浮かべるオウインに、キョウコは微笑んで一言。 「いやいや、悪かったねえ。どうにもあたしは意地が悪いもんだから、ついこんな悪戯をしちまう」 生来の太い声でキョウコは詫びを口にした。 「……大概にしてくださいね」 オウインはやっとそう返答するのがいっぱいだった。 五人の女から長所を受け継いだキョウコは、今や光の女神もかくや、という美しさである。 「それで、私はこれからどうしたらいいのかしら」 手近な樽に腰掛けたキョウコは髪を指先でもてあそびながらオウインに尋ねた。 うん、とオウインはひとつ頷いて、 「美人はそれだけで万人の兵にも勝る強力な兵器だよ」 そして、キョウコを自らの養女に仕立てて、しかるべき機会を得て権力者のもとへと送り込もうと いう筋書きをキョウコに教えたのだった。 「と、いったところなんだが……ん、聞いていたのかね、キョウコさん」 「ええ、ごめんなさい。ちょっとだけ、ぼうっとしていたかしら」 絶世の美貌を手に入れながらも、キョウコの心は今、不安ゆえの暗灰色に翳っていた。 彼女は、醜く生まれたために、ろくな生き方ができなかった。今までずっと、そうだった。 ところが彼女が取りこんだ女たちは皆、すばらしい美女揃いであったにも関わらず、佳人薄命の例え を具現して一人残らずろくな死に方をしていなかったのである。 きっと、美女に生まれ変わった彼女もまた、同じ末路をたどるのだろう。ろくな生き方も、そして 死に方も与えられない自分は、もしかしたらこの世で一番の不幸な女なのではないか、と。 まあ、それでもいいかもね、と覚悟が決まったら再び彼女の瞳には強い光が戻っていた。 「それじゃあ、お父様。私、可愛い名前が欲しいわ。何か考えてくださらないの?」 「うん、そうだね……それじゃあ、こんなのはどうだろうね」 その後、彼女たちが本懐を遂げる事ができたのか、それともむざむざとその方策を破られてしまっ たのか。 厚く積み重なる歴史の層に圧縮されては、それらの事実を確認する術は今となっては何も残っては いないのである。ただ、曲がり曲がった口伝で、物語が伝承されるばかりなのである。 了
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オルスボラド(オルス・ボラド) ウルスボラトの別名。
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第一回放送の数分前…… 「上条さん……助けていただいてありがとうございました」 「いやいや顔を上げてください! そんな、俺はただ俺のできることをしただけですから」 お辞儀をする秋山澪に、上条当麻は慌てて言う。 澪がルールのため仕方なく組んでいた変態紳士クマ吉にレイプされそうになっていた所を、たまたま通りかかった当麻が助けたのだ。 ちなみにクマ吉(7期からの参戦。長野とは別人)は当麻のパンチを食らって失神している。 「でも本当に……ありがとうございます……」 顔を赤くして澪が呟く。もうダメだと思ったときに颯爽と現れて自分を助けてくれた彼は、まるで物語の中に出てくるヒーローのようだった。 「あー、いや、大したことないっすよ、ハハハ……」 顔を赤らめる澪を見てドキリとした当麻は、笑って場をごまかそうとする。 「『お二人の邪魔するようで申し訳ないけど』『どうするんだい上条くん』」 「うおっ!?」 「きゃっ!」 突然話しかけてきた球磨川の声で、二人は思わず飛び上がる。すっかり球磨川のことを忘れていた。 「ど、どうするって何がだ?」 「『おいおい忘れたのかい。』『今のルールは2人以上3人以下でまとまって行動することなんだよ』」 「『今ここにいるのは四人』『上条さん、僕、チェ・サンジュ、変態という名の紳士』」 「『このままだとみんな首輪が爆発して死んじゃうよ』」 そうだ、その事を失念していた。どうするべきか上条は考える。 クマ吉を一人残していく……駄目だ、そうなればクマ吉は首輪の爆発で死ぬ。いくら犯罪者とはいえ殺したくはない。 なら自分がクマ吉と残るか……それは駄目だ。球磨川は邪悪な男だ。澪さんを球磨川と二人きりにするなんて危険すぎる。 ならば球磨川をクマ吉と……駄目だ。球磨川を野放しにしたら大変なことになる。ましてや性犯罪者と組ませたりしたら……。 なら澪さんとクマ吉……ってなにを考えてるんだ俺は!! そこまで考えて当麻は愕然とする。どの選択をしても、待っているのは悲惨な結果しかない。 「『上条くん、どうするんだい。』『僕たちはどうすればいい?』『決めてよ』」 「『まあどの選択肢を選んでも』『君の生き方はここを境に折れ曲がるけどね』」 球磨川を無視して当麻は自問する。どうすればいい? 最良のハッピーエンドに到るための選択は…… 「『……な~んてね☆』『僕がそんな辛い決断を』『大親友である上条君に押し付けるわけないじゃないか』」 「『汚れ仕事は僕がやってあげる。』『僕は上条君のことが好きだから』『戯言だけどね』」 言いながら球磨川は大螺子で倒れているクマ吉の頭を貫いた。血飛沫が飛び散る。 「ッッ!テメェ!」 「『これで僕たちが爆死する心配はなくなったよ。』『君もこうなることを望んでたんでしょ?』」 当麻は球磨川に掴みかかる。だが彼らが言い争う前に 「嫌……嫌ぁぁぁぁぁ!」 澪が二人のもとから逃げ出した。 「って澪さん!」 球磨川の襟首を掴んでいた当麻は、慌てて澪を追う。 「来ないで!人殺し!」 「一人で行動しちゃ駄目……って危ない!」 「えっ?」 嵐で視界が悪かった事と地面がぬかるんでいた事が災いした。 パニック状態で走っていた秋山澪は自分が向かう先が崖になっていることに気付かず そこから転落した。 「澪さん!!!!」 当麻は崖に駆け寄り下を見る。 澪の体は壊れた人形のようで、首や手足が曲がってはいけない方向に曲がっていた。絶命していることは一目で明らかだった。 「なんでだよ……!!なんで……こんな……!!」 「『視界が悪い中で走ったりしたら危ないのにねえ』」 自分の後ろに来た球磨川を、当麻は振り返りざまに殴った。球磨川の体が吹き飛ぶ。 当麻は球磨川の襟首を掴んで立たせると、さらに二発、三発と殴る。 「『痛い……』『痛いよ上条くん……。』『なんでこんなひどい事をするの?』」 当麻は無視してさらに四発、五発と殴る。 球磨川の鼻と口から血が流れ出し、歯がへし折れる。 「持ってる螺子を全部捨てろ……」 肩で息をしながら、当麻は球磨川に命令する。 「『螺子?』『螺子を捨てればもうこんなひどい事はしない?』」 「いいから全部捨てろ!今すぐに!」 そういってもう一発球磨川を殴る。殴り倒された球磨川はよろよろと立ち上がると、両手に大量の大螺子を持った。 「『これを全部捨てればいいの?』」 そう言うと、凄まじいスピードで螺子を近くの木陰へと投げつけた。 「グェ!」「ウギャア!」「ひでぶ!」 その木陰から人の悲鳴が聞こえた。 まさかと思い当麻はそこに走る。待っていたのは彼が最も恐れていた光景だった。 螺子が頭部を貫通した田村ひよりと椎名真冬の死体。どう見ても即死だろう。 そしてもう一人、螺子に腹部を貫かれたセーラー服の少女はまだ生きて呻き声を上げていた。 「おい!しっかりしろ!」 当麻は少女を両手で抱き起こす。それは彼女を助けようとする全く善意の行動だった。 しかし 「うっ!!」 バリンというガラスの割れるような音と共に、少女の体はメダルとなって崩れ落ちた。 上条当麻は知らなかった。その少女が幻想の存在、グリードだということを。 「『あーあ。』『みんな死んじゃったね』」 球磨川は血まみれの顔のまま笑っている。 その中心に当麻は思いきり拳を打ち込んだ。 球磨川の体が宙を舞い、ゴミのように転がる。 「『八つ当たりするなよ。』『最後の子が死んだのは明らかに君のせいじゃないか』」 まだしゃべり続ける球磨川の顔面に、更に何発も拳を打ち込む。 「『そもそも螺子を捨てろって命令したのは君だし』『僕はあそこに人がいるなんて全然気がつかなかったんだ』」 「『だからこれは所謂、』『不幸だー!』『ってやつだよ』」 球磨川の顎に向けてパンチを放つ。顎の骨が折れる手ごたえがあった。 しかしそれでも球磨川の声は止まらない。 「『彼女たちを殺したのは半分は僕だ。』『でももう半分は君だ』」 「『そういえば最初の時もそうだったね。』『最初に君を追いかけてた女の子のことを覚えてる?』」 「『あの子は本来、僕の螺子なんかで死ぬような体じゃなかったんだ。』『でも君が殴って無力化していたから僕の螺子で死んだ』」 「『あれも僕たち二人で殺したんだよ。』『やっぱり僕たちは最高の相棒だね』」 当麻は球磨川の顔を殴り続ける。何十発も、自分の拳の皮が裂け、血が噴き出しても止めることはない。 そして球磨川の声も止まない。 「『上条くん』」 『君は今まで誰かの不幸を壊すためだけに』『その右手を振るって戦ってきた』 『だけどね』『それは駄目だよ』 『大事なのは壊すことじゃない』 『愛することだ』 『全ての人間の不幸を』『不浄を』『不遇を』『不運を』『不正を』『不快を』『不信を』『不安を』『不明を』『不純を』『不平等を』『不条理を』『不完全を』 『ふざけた幻想を』『曲がった理想を』『歪んだ回想を』『挫けた妄想を』『止まった追想を』『撓んだ思想を』『傷んだ連想を』『おどけた懸想を』 『蜜月の恋人と睦みあう様に』『人生を共にした伴侶を慈しむ様に』 『愛することだ』 上条当麻は殴る手をとめた。 球磨川禊の顔はもう、どこに何があるのかさえわからない血と肉のボールになっている。 そして呼吸も心拍も停止していた。 当麻の首輪からピピピという警告音が流れ出す。 ぼんやりと周りを見渡すが、生きている人間は当麻以外誰もいない。 「畜生」 そして首輪の爆発が上条当麻の身体を粉々に吹き飛ばした。 禁止行為によって上条当麻が爆死した数秒後、 キーンコーンカ「フハーッハハハハ!!!」 全世界にTCBR8第1回放送を告げるチャイムが鳴り響いた。 【一日目・2時00分/宮城県/天候・嵐】 【上条当麻@とある魔術の禁書目録 死亡確認】 【球磨川禊@めだかボックス 死亡確認】 【秋山澪@けいおん! 死亡確認】 【クマ吉(7期)@ギャグ漫画日和 死亡確認】 【田村ひより@らき☆すた 死亡確認】 【椎名真冬@生徒会の一存 死亡確認】 【メズール@仮面ライダーオーズ/OOO 死亡確認】
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ハヤト「ほ、本当にいいのですか……?」 ろっと「うん」 ハヤト「や、やっぱり無抵抗の人には流石に……」 ろっと「いいから思いっきりやって」 ハヤト「わ、分かったのです……では」 ドゴォッ!! ろっと「あっ……も、もっと……」 ハヤト「もっと!?分かりました!」 ドゴォッ!! ろっと「も、もっと……」 ハヤト「ああああもうヤケですね!!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」 ろっと「もっと……痛くして……!」 遊馬(……何をしているんだ) 作者 邪魔イカ
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オルスバイフ(オルス・バイフ) ウルスボラトの別名。
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トップページ 世界観 用語集 最終更新日:2012-08-29 オルスウムブラ公式 非公式 メモ オルスウムブラ 公式 初出:2012年夏季植物課題 暗闇を好む植物。 日の光を当てると縮んでしまうため育成時には注意すること。 最大成長すると茶色い根が鉢から溢れる。 このまま放置すると部屋中に根付いてしまう。 よく乾燥させ粉末にして火をつけると吸収した闇の光を放出する。 1鉢分のオルスウムブラを燃やした場合、発生する闇は手のひらサイズで直ぐに消えてしまう。 出:2012植物課題:注意事項・質問窓口 これは煮たのを食べたよー。 私の実家でよく出てきたリリナスールに味が似てました! ちょっと酸味があるかんじ。-レジリア・ルウェル助教授談 非公式 オルス(olus)はラテン語で、意味は「野菜」 ウムブラ(umbra)もラテン語で、意味は「影」 メモ 【2012植物課題:治癒幻惑魔法科受け取り窓口】(ゲームにログインが必要) 【2012植物課題:注意事項・質問窓口】(ゲームにログインが必要) ↑上へ戻る 表示ページの登録タグ:マテリアル 植物 用語集 課題 食事
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トップページ 世界観 用語集 最終更新日:2012-08-29 オルスステラ公式 非公式 メモ オルスステラ 公式 初出:2012年夏季植物課題 水分を多く含んだ植物。 最大成長すると鉢の横から根が突き抜ける事が多い。 体内に1鉢でおよそ50リットルの水を凝縮して蓄える。 傷をつけると大量の水が溢れだすので注意が必要。 また、内部の水は甘みを帯びている。 出:2012植物課題:注意事項・質問窓口 これは甘かったとおもう! なんかのスイーツの中に入ってたもん! 味はチョコの味しか思い出せないなー… ぷにぷにしてて歯ごたえがよかったよ!-レジリア・ルウェル助教授談 非公式 オルス(olus)はラテン語で、意味は「野菜」 ステラ(stella)もラテン語で、意味は「星」 メモ 【2012植物課題:魔法史研究科受け取り窓口】(ゲームにログインが必要) 【2012植物課題:注意事項・質問窓口】(ゲームにログインが必要) ↑上へ戻る 表示ページの登録タグ:マテリアル 植物 用語集 課題 食事
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ほっともっと メニュー コメント 株式会社プレナスが九州・山口地方及び東日本地区を中心に、全国に店舗を展開している持ち帰り弁当のチェーン店。2011年(平成23年)現在、日本の持ち帰り弁当業界で最大の店舗数を誇る。 メニュー バシャーモ:チキン南蛮弁当 テッポウオ:シャケ弁当 ダークライ:のり弁当 ブーピッグorエンブオー:ロースかつ丼 パルシェン:カキフライ弁当 ブロスター カラマネロ シェルダー バスラオ ジャノビー ハスブレロ:海鮮天丼 ケンタロス ビーフステーキ弁当 マグカルゴ:ビーフカレー リングマ♂:ファイターズ弁当 ナッシー:親子丼 ワカシャモ:から揚弁当 チェリム(ネガフォルム):なす味噌弁当 ミルタンク:デミグラスハンバーグ弁当 バスラオ:さば塩焼き弁当 さばのポケモンがいないので エンブオー:しょうが焼き弁当 ゼクロム:~焦がしにんにく~黒カレーから揚げ弁当 オオスバメ:焼鳥つくね重 マリルリ♂:ドラえもんランチ 色違いマリルリ♀:ドラミちゃんランチ コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る メニュー ブーピッグorエンブオー:ロースとんかつ弁当 -- (公太郎) 2021-01-23 07 54 58 ↓ 修正 × スペシャルコンビ丼 〇スペシャルトリオ丼 -- (ユリス) 2020-11-14 17 23 12 草案 メニュー ダグトリオ:スペシャルコンビ丼 -- (ユリス) 2020-11-14 17 22 18 メニュー オオスバメ:焼鳥つくね重 -- (公太郎) 2020-11-14 17 14 34 草案 ゼクロム:~焦がしにんにく~黒カレーから揚げ弁当 -- (ユリス) 2020-09-18 20 47 23 草案 ナッシー:親子丼 ワカシャモ:から揚弁当 チェリム:なす味噌弁当 ミルタンク:デミグラスハンバーグ弁当 バスラオ:さば塩焼き弁当 さばのポケモンがいないので マグカルゴ:ビーフカレー エンブオー:しょうが焼き弁当 -- (名無しさん) 2019-02-13 00 20 53 草案 メニュー ブーピッグorエンブオー ロースかつ丼 パルシェン:カキフライ弁当 ブロスター カラマネロ シェルダー バスラオ ジャノビー ハスブレロ:海鮮天丼 ケンタロス ビーフステーキ弁当 マグカルゴ:ビーフカレー リングマ♂:ファイターズ弁当 -- (ユリス) 2015-11-27 21 40 13 ダークライ:のり弁当 -- (名無しさん) 2015-11-23 10 20 38
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トップページ 世界観 用語集 最終更新日:2012-08-29 オルスルーナ公式 非公式 メモ オルスルーナ 公式 初出:2012年夏季植物課題 月の光に反応する植物。 最大成長すると目のような模様が現れ月の光を目で追う。 よく乾燥させ粉末にして火をつけると吸収した月の光を放出する。 少量で大量の光を発するため扱いには注意が必要。 出:2012植物課題:注意事項・質問窓口 これは食べたことがあるの。 月の光を吸収した量によって味が変わるみたい。 なんとなく瓜っぽい薄い青臭い味がしたよ。-レジリア・ルウェル助教授談 非公式 オルス(olus)はラテン語で、意味は「野菜」 ルーナ(luna)もラテン語、もしくはイタリア語、スペイン語、ロシア語で、意味は「月」 メモ 【2012植物課題:総合魔法科受け取り窓口】(ゲームにログインが必要) 【2012植物課題:注意事項・質問窓口】(ゲームにログインが必要) ↑上へ戻る 表示ページの登録タグ:マテリアル 植物 用語集 課題 食事
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トップページ 世界観 用語集 最終更新日:2012-08-29 オルスルークス公式 非公式 メモ オルスルークス 公式 初出:2012年夏季植物課題 野菜として食べられる事がある植物。 単体で食べるだけなら効能は特にないが、他マテリアルと組み合わせると恐ろしい粘着力が出る。 効能を知らないまま使った飲食店で被害がでることもあるそう。 最大成長すると自分の周りに種を浮遊させる。 出:2012植物課題:注意事項・質問窓口 これは先生食べたことないんです、ごめん。 単体で食べられるのかなあ? べとべとするらしいから、同じような野菜に味にてるかも?-レジリア・ルウェル助教授談 非公式 オルス(olus)はラテン語で、意味は「野菜」 ルークス(lux)もラテン語で、意味は「光」 メモ 【2012植物課題:戦闘魔法科受け取り窓口】(ゲームにログインが必要) 【2012植物課題:注意事項・質問窓口】(ゲームにログインが必要) ↑上へ戻る 表示ページの登録タグ:マテリアル 植物 用語集 課題 食事